繊維素材
1.ファイバー素材
“ファイバー”とは繊維という意味です。板の構造素材として主に使用されているファイバー素材にグラスファイバーとカーボンファイバーがあります。グラスファイバーの原材料は普通のガラスで、カーボンファイバーの場合は合成繊維を高温で炭にしたものです。これらを繊維状にしたものがファイバー素材なのです。
2.性質
いかなる物質でも、程度の差はあれ、力をかけることにより伸縮させることが可能です。物が曲がるときは曲がりの内側が縮み外側が伸びますが、物を細い繊維状、あるいは細い板状にすることによって同じ曲がりの半径であってもこの伸び縮みの量が少なくなるので曲げても折れにくくなります。
グラスやカーボン繊維は直径十ミクロン(0.01mm)くらいなので、三ミリ厚の板材に比べて約三百倍曲がりやすくなります。このため繊維状で使用することでグラスやカーボンの良い性質を自由な局面に付加させることが可能になるわけです。また、繊維の角度を変えることによってある方向だけ強度を上げるということも可能になるのです。
3.ボードへの応用
グラスファイバーやカーボンファイバーはシート状に固めて使うのが普通です。ボードの製造に使われる前のこのシートは軟らかく曲がりやすいです。しかし、これでコア材を挟み込むことによって非常に強さを発揮するのです。この理由は、シート状の繊維は一本一本が曲がりやすいので、それを何本集めても曲がりやすさは変わりません。しかし、引っ張りや圧縮に対する強さは保ちつつ、引っ張りや圧縮のかかるところで使うと強化することができるのです。
つまり、曲がるものであれば曲がりの内側と外側に繊維シートを配置すればいいのです。繊維自体は曲げに対して抵抗力はほとんどありませんが、曲がるものの表面の伸縮に引っ張りや圧縮で抵抗することによって曲がりにくく、強くすることができるのです。
繊維を圧縮した場合、そのままでは折れ曲がってしまって圧縮力を受け持ちませんが、コア材に沿わせて接着することで折れ曲がらなくなり、圧縮の力に抵抗するようになるのです。
*参考図書 「実用 スノーボードの科学 U 用具&ワクシング編」
藤井徳明著 スノーボードニッポン編集部