文科系必修研究生活術
1.第4章 研究方法のAからZまで (p.75〜p.116)
この章では研究における参考資料の保管に重点をおいて展開され、具体的な研究の進め方の手順について述べられている。
・先行研究の重要性
・文科系の研究におけるテクスト相互関係
・先行研究探索の方法
・研究カードを取る
・研究カードに何を書くか
・研究カード作成の方法
・文献カードを作る
以上、7項目から構成されている。
2.内容
<先行研究の重要性>
最初に取り掛かるべき参考文献表の作成時に先人たちの文献を探索し、自分の研究が踏まえるべき参考資料として、先行研究を捉えるのが普通なのである。
<文科系の研究におけるテクスト相互関係>
同じテーマについて過去に発表された言説の総体が相互に取り結ぶ関係を、文化批判理論では「テクスト相互理論」といい、文科系の研究の場合、この網の目のなかで何かを付け加えるという作業にならざるを得ないのである。
<先行研究探索の方法>
@人の論文・著書の参考文献からたどる
A図書館の目録カードを見る
BOPACを使う
C書誌を使う
DCD-ROMデータベースを使う
<研究カードを取る>
@大学ノートを使う
Aカードを使う
Bパソコンでデータベースにする
<研究カードに何を書くか>
@論文などの先行研究の要点:著作名、書名など、重要な情報を記入する。
A引用:文学研究などでは作品からの引用を用いるこが多いため。
B調査記録:調査結果で得られたデータを記入する。図形、グラフなど。
Cアイデア・疑問点:これから書く論文に直結しえる。
<研究カード作成の方法>
@すぐにメモする:人間の記憶はあいまいだから。紙を用いたカード方式が有効。
Aあとでまとめてメモする:読んでいる最中は重要であると思っても、最後まで読むことにより著者の主張の全容を把握できるから。
B一枚のカードにひとつの項目:なんでもかんでも書き込むよりも一つにしぼったほうが良いということ。情報のユニット化。
C見出しをつける:整理のため。
Dカードに番号を振るべきか:テーマ別での分類が主であるため、カードに番号を振ることはあまり重要ではない。
Eカードにリンクを張る:……のカード参照として書きこめない。データベース化によりユニット化された情報どうしの関係の網の目を実現する手段として有効である。
Fカードの整理・保管:テーマ別に分類するのが一般的。ただし、二つのテーマを持つものに対してカードは不便だが、データベース化によりそのことが解消された。
<文献カードの作成>
参考文献に関するあらゆる情報を書き込む。できれば文献に関するコメントを付けたほうがどのような文献であったか後に容易に思い出せるので良い。
3.まとめ
論文を書き始めるにあたって先ずは先人たちの文献を読むことが重要であるということを作者は言わんとしているのであろう。そしてただ文献を読むのではなく、そこで自分が感じたことや文献表を整理しておくということが論文を書くうえで最初に取り掛からなくてはならないことなのであろう。