倒産

 

     倒産の原因

 

1.       放漫経営 経験未熟、あるいは公私混同が著しいための倒産

2.       販売不振 業界が構造不況業種、営業努力不足あるいは商品の問題など

3.       赤字累積 過去何期にも渡り赤字決算が続いたための

4.       売掛金回収難 販売先の資金繰りの都合で回収の遅延や自社のミスによる回収の滞り

5.       連鎖倒産 販売先が倒産したため代金の回収ができず、自社の資金繰りがつかなくなる

6.       過小資本 資本金や過去の利益収入が少なかいため

7.       設備投資の過剰 事業拡大のために設備投資を行ったが、売上が伸びなかった

8.       信用性低下 格付け機関によって投資不適格と指摘がされ、株価が額面割れなど

9.       在庫状態悪化 在庫の過剰保持による資金繰りの圧迫

10.    その他 災害、詐欺、事故、経営者の突然死など

1と6から10は経営内容による倒産で、2〜5は不況型倒産といえる。

 

 

(会社更生法)

  大規模な株式会社で存在価値のある会社を対象(例:大手ゼネコン)にしている。

  裁判所によって指名された管財人がその経営を行うため、それまでの旧経営者は全員罷免されるなど、すべての利害関係人を手続きに取り込むことで、会社の役員、資本構成、組織変更までを含んだ抜本的な更生計画となる。

  会社更生法は、法的手続きの中ではもっとも強力な手続きであるが、手続きが複雑かつ厳格であるため、手続きおよび費用の負担も大きい。

 

    (会社整理)

  会社更生法と同様に株式会社の法的な再建手続きだが、比較的小規模な株式会社の債権に向いているため、ミニ会社更生などと呼ばれている。債権者全員の同意が必要となるため、同意が得やすい中規模の株式会社で旧経営者に再建の意欲がある場合に適している。整理手続き以外は従来どおり旧経営者が経営を執行し、手続き後は名実ともに旧経営者に実権が移行する。

  会社整理は事例が少ないが、金融業の会社では債権者に同じ金融業が多く同意が得やすいため、比較的多く行われる。

  

    (特別清算)

  株主総会を開催し、解散決議を経て解散した会社の清算が著しく支障をきたす事情がある場合、もしくは債務超過の疑いがある場合に、申し立てることによって、裁判所が特別清算の開始を命ずることができる制度である。

  したがって、特別清算手続きを開始するためには、解散手続きが容易にできることが必要であり、株主が少数で、大株主の意向が得やすい同族会社などのオーナー企業が向いている。実際には、大企業の子会社が破産というイメージを免れたい場合に使うことが多い。

 

(民事再生法)

新たな法的整理として、民事再生法が20004月から施行となった。

民事再生法が適用されるものは、会社・法人・個人とされている。

民事再生法の流れは

申し立て→地方裁判所→保全処分→再生手続きの開始→債権の届出→債権調査→財産評価→再生計画案作成

となっている。

 

決議は出席債権者の過半数でかつ、総債権額の二分の一以上の承認によって受けられる。

再生債権の弁済は、再生計画の履行を遅延させた場合、十分の一以上の債権を有する債権者の申し立てによって、再生計画の取り消しができる。もしくは破産宣告がなされる。

管財人(債権者)の他に、監査委員、調査委員などを設置することができる。

履行を確保するために、監査委員や調査委員などによる監督が再生計画認可後もできるようになる。

  

民事再生法のポイント

@     手続き申立て後も債務者が経営を継続できる。

A     支払い能力や債務超過の破綻状態前に申立てできる。

B     決議要件の簡単化・迅速化。

 

民事再生法の問題点

@     倒産がやりやすくなることで、更なる倒産増加が見込まれる点。

A     経営合理化の一環として計画倒産に利用されることへの懸念がある点。

 

再生計画遂行パターン

@     債務者主導型・・・債務者が主導して計画を遂行するもので、再生計画の認可をもって、裁判所の手を放れる。

A     監督委員選任型・・・監督委員が選任されている場合には、認可後三年間は監督委員の監督下に置かれる。

B     管理型・・・裁判所の判断で例外的に債務者以外のものが管財人として置かれることがある。返済が終了するまでは手続きは終結せず、履行完了まで裁判所の管理下におかれる。

 

参考文献

末松義章著 「入門の経営 倒産の仕組み」日本実業出版社 2000年刊