生活保護

 

生活保護は、その世帯の※収入認定額が、生活保護法で言う「健康で文化的な最低限度の生活水準」

より下回る場合に、足りない部分を保証する制度である。生活保護を受けることは、憲法第25条に

より権利として保障されている。

 

※収入認定額=(働いて得た収入−基礎控除−必要経費)+(年金収入−必要経費)+援助収入+(福祉的な給付金−認定除外額)

 

生活保護の要件

資産活用 

現金、預貯金だけでなく生活に直接必要のない土地・家屋、高価な(処分価値のある)貴金属、

生活保険などがあれば、売ったり解約して生活費にあてること。車の保有も原則として認められない。

 

能力活用

働ける人はその能力に応じて働くこと。

 

扶養義務の履行の優先

三親等内の扶養義務者からの援助を受けること。

 

他法活用 

年金や手当など他の法律や制度で給付が受けられるものがあれば、その手続きをすること。

 

生活保護を受けるまで

福祉事務所→面接相談→申請受付→資力調査(第一回家庭訪問)→保護の要否判定→

保護の決定→援助計画の策定→保護費の支給、相談援助

 

生活保護の種類

生活扶助 

衣食や光熱水費といったものに対しての給付。そのうち個々人によるところの大きい衣食を

第一類として、年齢層ごとに違う支給。光熱水費は世帯の人数によって変わる第二類として支給。

冬季(113月)には地域ごとに違う冬季加算。

 

住宅扶助 

一定の限度額内で家賃、地代が毎月支給され、敷金、更新料、家屋修理費が必要な範囲内で

やはり一定限度額内で支給される。

 

教育扶助 

義務教育での修学に必要なお金が支給される。学用品や学級費にあたる基準額、給食費の実費

を毎月、教材費や入学準備金を必要なときに支給される。

 

介護扶助 

介護保険で給付される給付内容である訪問介護・施設などでの介護サービス費用のうちの自己

負担部分について支給がある。

 

医療扶助 

病院にかかる際の医療費、通院に必要な交通費、メガネやコルセットなど。あんま、マッサージ、

針・灸の施術について支給されることもある。原則的に健康保険の診療と同じ内容の給付がされる。

 

出産扶助 出産のために必要な費用。

 

生業扶助 

生業業(設備費や運転資金)、技術修得費(各種学校で技術を身につけるための教材費など)

就職支度費(衣服などの購入費)の三種類。

 

葬祭扶助 死亡確認、運搬、火葬場使用料、納骨費などの費用。

 

生活保護の現状

生活保護が受けられる人のうち、実際に受けている人の割合は25%といわれ、生活保護基準以下の生活

をしている人が多く放置されている。

労働能力のある者のいる家庭が生活保護を受けることが困難になっている。

 ハンディキャップがあり、誰がみても生活保護を受けることが当然と思われる家庭に対象が限定されてきている。

保護率(保護受給者/総人口)は0.98%と不況を反映しているが、保護を受けている世帯は、高齢者世帯と傷病

者世帯、障害者世帯が83%を占め、さらに母子世帯を含めると、約93%になる。

働いている者がいる世帯は約12%強と少なく、保護受給期間も五年以上が40%を超え、長期化している。

また、保護廃止の主な理由の三分の一は死亡・失踪が占めている。

 

参考資料

現代書館「How to 生活保護 介護保険対応版 暮らしに困ったときの生活保護のすすめ」

東京ソーシャルワーカー編 第五版2004年刊