マルチ商法(連鎖販売取引)
昭和四十年代後半から社会問題になっている悪徳商法。特定商取引法三十三条
にて、『物品の販売や有償で行う役務の提供(斡旋を含む)の事業であり、商品の
再販売、受託販売、販売の斡旋または役務提供の斡旋をする者を、特定利益を収受
することをもって勧誘し、勧誘された者が特定負担をすることを条件として、その
商品の販売、役務の提供、斡旋をするもの』、をマルチ商法としている。
マルチ商法の組織手口
・ マルチ商法の組織に加入する人を契約上は、商売や事業の知識や経験のない一般消費者を
販売業者から給与を得る販売員としてではなく、個人事業主として扱う。
・ マルチ商法の収入は商品を仕入れて売ることによる差額の利益。一定数を売りさばくことに
より発生するボーナス。新規会員を増やすことにより、発生するマージン。
・ 加入者をいくつかのレベルに区分けして、上級のレベルほどその資格を取得する負担を大きく
する反面、利益を大きくする。
・ 加入者の利益を源泉として、商品流通による中間マージンのほかに、新たな加入者を増やすこと、
あるいは、配下の加入者を上のレベルに昇格させることにより、多額の利益 を得られるという説明がある。
・会員が無限に増加することを予定したシステムではないから連鎖販売取引にはあたらないとしている。
マルチまがい商法 2001年6月の特定商取引法改正前、マルチ商法の規定から逃れられるように構成したもの。
法改正後、マルチ商法として取り扱われるようになった。
MLM(Multi Level Marketing)NB(Network Business)
マルチ商法団体が、マルチ商法の言葉のイメージが悪くなったために使い始めた。
マルチ商法(連鎖販売取引)は合法か?
マルチ商法は特定商取引に関する法律で規制を受けているが、存在自体が法で禁止されているわけではない。
つまり規制を守っている限り、そのマルチ商法は合法と言える。
マルチ商法(連鎖販売取引)に対する規制
総括者、および勧誘者は契約の締結を勧誘するに際して、および、契約の解除を妨げるために、威迫して
困惑させたり、次の事項に対し、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしたりしてはならない。
1. 商品の種類、性能、品質など(又は権利、役務の種類および内容)
2. 入会金や商品購入など、この取引に伴う特定負担
3. 契約の解除
4. この取引において得られる特定利益(販売利益、ボーナス、紹介料など)
5. その他、連鎖販売業に関することで連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼす重要なもの
総括者および勧誘者、又は連鎖販売業を行う者は、連鎖販売取引について広告する時は、次の事項を表示
しなければならない。その時、次の事項に対し、著しく事実と相違する表示をし、又は、実際のものより
も著しく優良であり、もしくは、有利であると人に誤認させるような表示をしてはならない。
1. 商品、権利、又は役務の種類
2. 特定負担の内容
3. 特定利益の内容(特定利益の特別条件や特定利益の根拠となる計算方法も含む)
4. その他、経済産業省令で定めるもの
連鎖販売業を行う者は、連鎖販売業に伴う特定負担をしようとする者と契約を締結する際に、その契約を
締結するまでに経済産業省令で定めるところにより、その連鎖販売業の概要について記載された書面を、
その者に交付する必要がある。
これらの規制に違反した場合は、行政処分となり、改善命令、業務停止の処罰の対象となります。
実際はこれらの規制を守って活動している団体は無いといって良い。だからといって、摘発を行うにしても、
数が多すぎて手におえない。刑罰を与えるのは難しい。
行政側にしてもマルチ商法全面禁止の方向だが、マルチ商法を法律で全面禁止にすると、処罰対象が広いために、
他の健全な取引にまで禁止が及んでしまう恐れがあるので、これらの規制で縛ることでとどまっている状態にある。