1.自己破産のメリット・デメリット

自己破産とは、簡単に言うと借金をした人、つまりは債務者が、借金が多すぎてこの先どう頑張っても

自分には払いきれない状態にあることを宣言することです。

これにより、借金をされたほうの債権者達は債務者に執拗な取立ては出来なくなります。

さらに免責を受けることによって借金を帳消しにすることができます。

 もちろん破産者になれば、今までの財産はなくなりますし、免責を受けるまでは法律上の制限(下記参照)

も受けることになります。けれど、法律上の制限は、免責が決定されれば解除されますし、破産後に得た財産は

自由に使え、生活に困るような制限はほとんど発生しません。戸籍や住民票に破産したと記載されたり、選挙権

や被選挙権などが停止されたりすることもありません。

破産者名簿に名前は載りますが、第三者が見ることは出来ませんし、免責を受ければ抹消されます。

また、官報に破産宣告を受けたことが公告されますが、普通の人はあまり官報に目を通さないので、

破産したことを知られる心配もありません。

しかし、信用情報機関のブラックリストに5〜7年は記載されるので新しくカードを作ることや、

サラ金を利用することは出来なくなります。

 自己破産すると人生が終わると思っている人もいるかもしれませんが、前述したように破産者にはほとんど

デメリットはありません。自己破産は逆に新しい人生を始めるための制度なのです。

 

 

自己破産による法律上の制限

 

1.公法上の資格制限

資格が喪失するおもな職種

●弁護士●公認会計士●税理士●弁理士●公証人●司法書士●社会保険労務士●不動産鑑定士

●人事院人事官●検察審査員●土地家屋調査士●宅地建物取引業者●公正取引委員会の委員長および委員

●商品取引所会員・役員●住宅金融公庫役員●証券取引外務員●生命保険募集員および損害保険代理店

●警備業者および警備員●有価証券投資顧問業者●国家公安委員会委員●質屋●風俗営業者および風俗営業所の管理人

●教育委員会委員●日本中央競馬会の役員

 

2.私法上の資格制限

(1)   民法上の制限 ●後見人●青年後見監督人●保佐人●遺言執行人

(2)   商法上の制限 ●株式会社、有限会社取締役・監査役については退任事由

●合名会社および合資会社の社員については退任事由

 

3.破産管財人がつく場合の自由制限

     財産の管理処分権を失う

     勝手に転居したり旅行にいけない

     郵便物を破産管財人に届けられ開封されることもある

     財産隠しやウソをつくと身柄を拘束される

     裁判所や債権者集会で破産までの経緯を説明する

(「自己破産と借金整理」p.87より抜粋)

公法上、私法上の制限に関して

資格上の制限に対しては、免責を受けるまでの間の資格停止処分になる。

資格は剥奪されません。

人の財産を管理し、委託を受けて取引する仕事が制限されます。

 

参考文献

(弁護士高橋裕次郎編著(1998)「自己破産と借金整理」日本実業出版社)