外郎売について

●外郎売とは?

「拙者親方と申すは〜」で始まる、現代でも滑舌の訓練に良く使われる歌舞伎十八番の一つ。

※歌舞伎十八番=市川団十郎家の得意芸を集めたもの。7代目団十郎制定。

暫・七つ面・象引・蛇柳・鳴神・矢の根・助六・関羽・押戻・うわなり・鎌髭・外郎売・不動・毛抜・不破・解脱・勧進帳・景清

 

初演は二代目市川団十郎(1718)森田座にて(江戸)

原題名「若緑勢曽我」(わかみどりいきおいそが)

 

●制作秘話(?)

二代目市川団十郎が病の為、咳と痰で科白が言えなくなってしまった際、「ういろう」のことを知り、この薬で全快したことから、感謝の意をもって作られた。

 

●「ういろう」って?

節操無いほど万病に効く(らしい)薬。

中国伝来の元は「霊宝丹」という名。

後小松天皇から「頂透香」という名を賜るが、難しくて定着せず。

「陳外郎」と姓と名乗った外郎家の始祖が伝えた為に「ういろう」と定着。

※後述するお菓子の「ういろう」も、外郎家が考案したと(株)ういろう は主張している。

そのために、ういろうの商標を巡っての争いも平成13年に起きている。

 

●名古屋名物・「ういろう」との関係?

 一般的に「ういろう」と認識されているのは、実は正式には「外郎餅」である。

外郎家二代目大年宗奇が朝廷に仕え、外国使節を接待するために供したもの。

全国に広がったのは京都の外郎家が、室町幕府滅亡のころ戦火に掛かり絶家。そして当時の外郎家の職人が「ういろう」を広める。

 

●外郎論争?

 「八つ棟」「お菓子の」「ういらう」の文字・図案の商標を有する(株)ういろうが、「青柳ういろう」の文字商標を有する(株)青柳ういろうの、商標の無効審判を要求。

しかし、広辞苑・食品衛生上のガイドライン等にも和菓子の普通名詞として掲載されている為、「ういろう」は普通名詞に過ぎないとされ、請求は不成立となった。

「黒外郎」「白外郎」などの他社の登録商標もあり、妥当と思われる。

しかし今でも(株)ういろうは、自社の由来などを封入チラシ・外箱などで主張している。