No.26

平成16116

黒沢友裕

 

音楽配信について

 

AppleとHPが音楽配信分野で提携

米ヒューレット・パッカード社(HP)と米アップルコンピュータ社のパソコン大手2社は1月8日、インターネットを通じた音楽配信分野での戦略的提携を結ぶことで合意した。HPは日本ではあまり人気がないが、本国アメリカでは人気の高い世界規模のメーカーである。Appleは音楽配信分野で世界最大手のパソコンメーカーである。パソコンの基本ソフト(OS)では、米マイクロソフト社のWindows側であるHPが、対するマッキントッシュを載せたAppleの技術を全面採用する形となっている。AppleはパソコンのOEM供給を原則的にしないなど、独自路線を進めてきた結果、マイクロソフトに事実上OSの独占を許した過去があるので、この様な提携は画期的といってもいい。

提携内容としては、Appleの携帯型音楽プレーヤー「iPod」(MacでもWindowsでも元来から使用可能。ちなみに1万曲が入る)をHPブランドとして発売(OEM供給)する他、HP製パソコンにApple製の音楽配信用ソフトウェア「iTunes」を搭載することを考えている。

アメリカで急成長している音楽配信事業を巡っては、マイクロソフトやソニーなど世界のIT企業が主導権争いを展開している。Appleは、米パソコン市場2位のHPと提携することで、自社技術の浸透と自社の配信サービス「iTunes」の顧客基盤をしっかり作る狙いがあると推測できる。HPは、音楽配信分野で現在大きくリードしているApple製品の供給を受けることで、パソコン販売の増加と開発コストの削減につなげたいと考えているのだろう。音楽配信事業は、Appleが1曲99セントで昨春始めた「iTunes」がすでに約3000万曲売れる大ヒットとなっており、これまで人気曲をネットで提供することに慎重だった音楽業界も、積極姿勢に転じている。日本でのサービス展開については春先には開始されるようである。1曲あたり100円前後で提供できるのであれば、シングルを買うよりもかなり安く、合法的に何度も複製可能なMP3ファイルが手に入るということは、ユーザーにとってかなり魅力的である。これまで日本ではあまり音楽配信分野が成長してこなかったが、Appleが日本に来ることで、音楽の聴き方そのものが変わってくるかもしれない。

参考URL

Narinari.com:http://www.narinari.com/

YOMIURI ON-LINE:http://www.yomiuri.co.jp/business/news/20040109i505.htm

Apple:http://www.apple.co.jp/ipod/