平成15年12月19日
黒沢友裕
大手同士の統合
不安が残る合意
ソニーとベルテルスマン両社の音楽事業部門が統合されるわけだが、出資比率はソニーとベルテルスマンで半々となっている。派遣する取締役の数も同数で、誰が新会社を仕切っていくのかはっきりしていない。
また、日本のソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は米ソニー・ミュージックではなく、日本のソニー本体が100%出資している。経営陣も盛田昌夫社長など、日本のソニー本社に関係がある人が多い。これでは、新たに設立されたソニーBMGが、日本のソニー・ミュージックにどこまで指揮をして、どこまで事業統合の効果を発揮できるのかがよく分からない。
しかも、日本のソニー・ミュージックが自社より企業規模の小さいBMGファンハウス(BMGの100%子会社)と事業統合しても相乗効果が生まれるだろうか。日本に限って言えば、ソニーBMGになることがいい効果を生むとは、今の段階では考えられない。
そもそも大手企業同士の再編統合は、米国とEUに定められた独占禁止法に触れる可能性がある。過去にもそれで統合が白紙に戻ったことがある。それだけに、独禁当局の承認が降りるまでは長い時間が掛かりそうである。
参考文献
(編)著者名 |
刊年 |
書名 |
出版社 |
日経BP社編集部 |
2004年1月4日発行 |
日経エンタテインメント!2004年1月号 No.82 |
日経BP社 |