No.3
平成15年5月2日
黒沢友裕
レコード会社がCDから得る収益の内訳
今回は前回のゼミで上がった疑問点の補足と言うことで、レコード会社がCDから得る収益の内訳を通して、宣伝費にかかるCDの原価の割合を明らかにしたいと思います。
アルバムCD1枚を3000円として見ると、レコード会社の収入はCDの売上枚数×3000円なので、10万枚売れれば3億円で、そこから支出を引いた分が儲けとなります。
支出は大きく5つに分けることができます。つまり、@レコード店の取り分ACDを作る為の制作費BCDプレスなどの製造費CCD販売促進の為の宣伝費D作詞家や作曲家に支払う著作権印税やアーティストに払う歌唱印税、の5つです。レコード会社の利益にはAとCが関わってきます。
グラフが入る予定
始めに制作費ですが、制作費とはレコーディングをする為のスタジオ代、サポートミュージシャンやエンジニアの人件費のことです。相場として1曲作るのに150万円で10曲なら1500万円かかります。制作費は固定費なのでCDが売れれば売れるほど利幅は大きくなります。制作費を出すということは、CDをプレスできるマスターテープの権利(原盤権)を持つ、ということになります。最近はレコード会社ではなく、事務所が持つこと
が増えています。なぜなら事務所も音楽を作る設備を持つようになったからです。その場合、レコード会社は事務所からマスターテープを借りて、対価として原盤印税(25%程度)を払わなくてはなりません。ですから事務所は原盤権を持ちたがります。
次に宣伝費です。宣伝活動はCDの発売告知や曲を知ってもらうのに欠かせない作業です。具体的には、テレビCM、雑誌広告、屋外ボードなどのメディア広告費のほか、プロモーションビデオの制作費もこれに入ります。売上見込み額の15%前後と言われるので、10万枚売れると見込めば4500万円程度かかります。しかし、テレビCMに力を入れると3000万〜5000万円などすぐにかかってしまうし、屋外ボードは1ヶ所でも約1500万円かかります。凝ったプロモーションビデオを作ろうとすると1000万円は超えてしまいます。宣伝費はかさみます。
つけたし
レコード会社はアルバムなら5万枚売れれば儲けが出るそうです。しかし、そのような売上を出すアーティストは全体から見ればごく少数です。ですから、1部のアーティストの利益で全体の赤字をまかなっているのが現状のようです。一方、事務所は原盤印税以外にもアーティスト(歌唱)印税の名目でCDから収入を得ています。
ミリオンセラーが減り、CDの売上枚数は4年連続で落ちていっています。レコード会社は制作費と宣伝費を抑えて利益を出したいと考えていて、事務所は原盤権を持ち宣伝費をかけて少しでも売上を伸ばしたいと考えているのが現状のようです。
参考文献
(編)著者名 |
刊年 |
書名 |
出版社 |
日経BP社編集部 |
2003年2月4日発行 |
日経エンタテインメント!2003年2月号 No.71 |
日経BP社 |