平成16年10月1日
黒沢友裕
CCCDをソニーが全面的に廃止
大手レコード会社のソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は、9月17日にCDに付けていたコピー禁止機能を全面的に廃止する検討を始め、30日に廃止を決定した。パソコンからハードディスクに音楽を取り込むアップルコンピュータの「iPod」など携帯型デジタル音楽プレーヤーが人気を集める中、コピー禁止機能があると取り込めないことから、顧客離れにつながりかねないと判断したためであろう。エイベックスも17日に、同機能を付けるかどうかを作品ごとに判断する弾力化的方針を発表した。
CDがパソコンでコピーされ、インターネット上で自由に個人間でやり取りされるケースが増えたため、エイベックスは02年3月に、国内で初めてパソコンに取り込めない「コピーコントロールCD」(CCCD)を導入し、SMEなどが追随した。
しかし、その後の警察の取り締まりや業界の啓蒙活動が進み、「著作権に対する消費者の理解が深まってきた」(SME)としてSMEは、原則的に付加してきた同機能を全面的に廃止することになった。エイベックスも9月22日以降発売のCDについて、アーティストや作曲家など、関係者と協議して同機能を採用するかどうか決めることにした。
方向転換の背景には「iPod」などのプレーヤーの普及があると考えられる。これについて、エイベックスははっきりと発言しているが、SMEは触れていない。「iPod」はインターネット上の音楽配信サービスやCDからパソコンに取り込み、プレーヤーに記憶させる仕組みだが、エイベックスなどのCCCDは利用できない。このままではCDを買わずにインターネットからダウンロードする流れが強まると判断した。
一方、東芝EMIやユニバーサルミュージックは、これまでも商品ごとに判断しており、方針の変更はないという。
このことから、音楽業界全体の意見として、音楽という商品はCDという形を持ったものとして売りたい、という考えが見て取れる。
参考文献 毎日新聞2004年9月18日