学会長挨拶 学生懸賞論文への招待

 

 経済学会の活動の中で、個人的にもっとも興味をもち、かつ学生に知ってもらいたいのは、学生懸賞論文(以下、懸賞論文)である。

 大学における学問研究は、講義を受けたり、ゼミに参加したりするだけに止まらない。もっと開かれている。もっと自由である。その際、1つの目標として、懸賞論文はとても有用だと考える。ぼくを含む大学教員の多くは、「教育」者というよりも、むしろ「研究」者になりたくてこの仕事に就いている。「研究」は楽しいからである。ほとんどの学生は目にする機会をもたないだろうけど、ここでいう「研究」は論文執筆とほぼ同義である。言い換えれば、研究者としての大学教員の存在意義は、論文を書くことに他ならない。

 経済学会の主催する懸賞論文は、そうした本当の意味での「研究」に挑戦する機会を提供している。と同時に、人間に本来的に備わっている知的好奇心を満足させる機会にもなりえる。そして、何より論文の執筆を通じて「研究」の楽しさを学生諸君に知ってもらいたい。その第一歩は自分の興味のあるテーマを探すことである。次に、そのテーマに関する情報を集め、自分が何を明らかにしたいか(課題)を考えてみる。テーマと課題を設定できたら、ゼミの担当教員などから指導を受けて、学術論文の作法に則ったオモシロい論文を書いてみてほしい。きっと楽しい時間を過ごせるはずである。学生諸君の挑戦を待っている。

 最後に、いまだ一人も受賞していない金賞の賞金は5万円であることを付言しておく。

 

経済学会会長・加藤健太